Wi-Fiの利用状況分析による小売顧客データの統合

ご存じのように、全てのスマートフォンにはWi-Fiに接続する機能が搭載されています。スマートフォンが接続先のネットワークを探していると、ローカルルータによって検出されます。他にも、小売店にはスマートフォンのWi-Fi機能の検出、一意のID番号の識別、店内を移動するユーザーのデバイスの追跡が可能な機器が設置されていることも少なくありません。

このテクノロジーを使用すれば、小売店は顧客の移動の流れの把握、コンバージョン率分析、滞在時間の調査が可能になります。そして、その結果に基づいて、より多くの買い物客を獲得・維持し、売上と顧客のロイヤルティを向上させるべく、店舗レイアウトや商品ディスプレイを計画・変更できるようになります。

通常、この方法では個人情報が収集されることはありません。しかし、他の半匿名メタデータと同様、収集されたデータを別の形式の一般公開されている情報や商用情報と相互参照することは可能です。たとえ顧客自身が匿名のままでいたとしても、相互参照の結果得られたプロファイルによって顧客の人物像は明らかになってしまいます。

ソリューションの中には、店舗に設置されたWi-Fiネットワーク以外の場所でも機能するものもあれば、特定の機器 (Wi-Fi/Bluetoothコントローラなど) を店舗内または店舗近くに設置しなければならないものもあります。

このようなテクノロジーを使用すると、どのようなメリットが企業にもたらされるのでしょうか。前述のようなソリューションで収集されたデータを売上向上に活用している小売業の例を、いくつかご紹介します。

1. 店内で展開する広告にデータを活用する

このテクノロジーをLBM (位置情報マーケティング) と組み合わせることで、買い物客の店内滞在時間が延びるよう促します。このテクノロジーの可能性には、大手企業だけでなく中小企業からも関心が寄せられています。

オーストラリアのAdobe Systemsアジア太平洋地域担当プレジデントのPaul Robson氏によれば、位置情報を店舗型マーケティングキャンペーンに取り込むのは、個別の顧客の要望とニーズに合わせてキャンペーンをカスタマイズしたいという小売業者にとって自然な流れです。

Robson氏は、店舗およびブランドは顧客との個人的な関係を望んでおり、この種のテクノロジーのおかげでそうした関係構築が可能になったと述べています。この種の宣伝は、通常店舗で作成される物理的な広告と、インターネットで見慣れているパーソナライズされた広告を融合させたものです。

2. 店舗をゾーンに分割して、顧客の移動の流れおよび滞在時間の分析精度を向上させる

モバイル対応の歩行者流動量分析スイートを使用すると、顧客の動きを数十センチの範囲で追跡できます。この機能が特に役立つのは、ディスプレイをどこに設置すべきか、あるいは利益率の高い特定の商品を特定の場所で販売すべきかどうかを決定する場合です。

ある小売業者は、ある店舗の奥まった所は他の場所に比べて顧客の行き来が大幅に少ないことを発見しました。そこで、この企業はデータに基づいて、この奥まった場所に顧客が流れるよう店舗全体を改装しました。結果、この場所を行き来する顧客が増加し、店内の歩行者流動量が均等化されました。

3. 業績が最も良い店舗と悪い店舗の原因を特定する

その店舗の売上が高い理由は、他店よりも歩行者流動量が多いからですか、それとも商品のディスプレイ方法が優れているからですか。このテクノロジーの大きなメリットの1つは、店舗で異なる売上の根本原因を解明できることです。

ニューヨーク市のとある小売業者は、モバイル対応歩行者流動量分析で訪れる顧客数が少ないことが明らかになった上階へと顧客を移動させる方法を見つけ出すために、A/Bテストを使用しています。この企業は現在、エスカレーター付近で無料のコーヒーや割引クーポンを手渡しするなど、顧客を上階に引き寄せるインセンティブのテストと測定を実施しています。

ワイヤレス歩行者流動量ソリューション

歩行者流動量分析ツールの1つが、フォーティネットのWi-Fiプレゼンス分析です。小売業者は、FortiPresenceを使用することで分析データを収集し、顧客との関係を発展させ、店頭販売を促進させることができます。至る所に存在するスマートフォンを味方につけることで、Wi-Fiと店内のデジタル広告を統合したマーケティング戦略によって店舗のショールーム化を回避できます。また、店内のWi-Fiを使用すれば、顧客ロイヤルティを確立し、リアルタイムで購買行動に影響を与えることができます。小売マーケティング担当者は、プレゼンス/ポジショニング分析を使用して、物販/マーケティングキャンペーンの効果を測定したり、顧客フローに合った人材配置のニーズを分析したりできます。

また、FortiPresenceは店内顧客インテリジェンスの活用によって、位置情報マーケティングを促進します。フォーティネットのハードウェアに搭載されたテクノロジーが、店内を見て回っている顧客が何を探しているのかを検知し、価格比較している顧客にその場で対応することを可能にします。小売業者は、フォーティネット独自のプレゼンス分析影響エンジンを使用することで、顧客が検索した競合価格に対抗できる価格を即座に提案したり、またそうした提案を顧客のデバイスや近くのデジタルサイネージにリアルタイム表示したりできます。

実店舗が、いつでも価格をネット検索できる買い物客のニーズに応え、オンラインストアとの競争に勝つためには、基本的な業務支援や顧客サービス以上の機能を提供してくれるワイヤレスネットワークソリューションが必要です。また、そうしたソリューションには、マーケティング担当者と経営者が顧客行動を測定し、オンラインショッピングに対抗できるよう支援する分析機能と顧客インテリジェンス機能も求められます。

顧客の信頼獲得に不可欠な取引の安全性

最後になりますが、サイバー窃盗および不正利用も大きな問題です。インターネット犯罪者がコードを解読したり、クレジット/デビットカードを不正利用したりする技術は、ますます巧妙化しています。顧客の口座への不正なアクセスや盗まれたデータを使った買い物などにより、企業や金融機関は多額の金銭的損失を被り続けています。このような状況では、顧客は小売取引にカードを使用することに慎重になり、自分の口座の安全性に不安を抱くようになります。

フォーティネットの次世代IPSは、優れたセキュリティ機能と性能を搭載しており、より強固なセキュリティを提供します。2015年、テキサス州オースティンにあるNSS LabsがフォーティネットFortiGate-1500Dのテスト結果の報告書を発表しました。この調査では、試みられた攻撃の99.2%がFortiGate-1500Dによって阻止されたことが明らかになりました。FortiGateは、ネットワークの脅威から企業を保護し、小売業のお客様に安全な環境を提供することで、収益源の保護と顧客からの信頼獲得を実現します。